食オタ|食の資格者コミュニティ

おうちで簡単チーズ作りに挑戦!チーズの世界をのぞいてみた

ある日の編集会議での話。

執筆メンバーから菌オタクの私に「チーズは?」という疑問。


「おうちで簡単にチーズ作れないのかな?」

チーズも発酵食品。
家で作れるのかが気になるところ。

知っているようで知らないチーズの世界。
一緒に学びましょう!

そもそもチーズって何?


そう。
チーズも発酵食品ですよね。
菌たちが活躍しています。

▶チーズとは
動物の乳に乳酸菌を加え酸を作らせ、消化酵素のレンネットで凝固させ、加塩し、微生物により発酵・熟成させたもの。チーズは製造方法により、ナチュラルチーズとプロセスチーズに分けられます。何種類かのナチュラルチーズを混ぜ合わせ、加熱して溶かし、味を調えて固めたものがプロセスチーズなんですね。

(左下がプロセスチーズ)

チーズって、家でもできないことはないけれど…。

発酵・熟成の道をたどらない作り方は
厳密にはチーズとは言えないのですね。

でも!家でチーズ作りたい!

実は私、チーズがあまり得意ではないんです。

でも!菌オタとして…
チーズを作ってみたい!

自家製チーズを作ってみよう


ナチュラルチーズの中でも、
熟成をさほど必要としないカッテージや
リコッタに近いものなら市販の材料でできるかな…?

いざ!!

カッテージチーズ

【用意するもの】
・牛乳  200㏄
・レモン汁 10cc
・塩 少々
※レモン汁はお酢でもOK

それでは作ってみましょう~!

1.牛乳を温める

牛乳を60℃まで温めます!
すぐに温まるので気を付けて!

2.レモン汁を入れて分離させる

弱火にしてレモン汁と塩を加えます。

分離し始めたら火を止めて!
あっという間に分離~。

3.濾す

コーヒーフィルターなどを用意。
濾していきますー。

こんな感じ↓

フィルターに残った固形分がチーズです!
カッテージチーズ♪

液体は、「ホエイ」。
あ!ホエイは捨てないでくださいね!

このホエイを使って
次のリコッタチーズを作りますよ。

▶ホエイとは?

ホエイとは、牛乳から脂肪分と固形のたんぱく質を取り除いた後に残る液体。
ヨーグルトのパックの上部にたまる水分もホエイです。

この量でのできあがりは69ℊでした。

カッテージチーズの完成です~!

簡単!!!

リコッタチーズ

さっきのホエイを使って、今度はリコッタを作ってみましょう。

【用意するもの】

・ホエイ 125cc
・牛乳 125cc
・レモン汁 8cc
・塩 少々

※牛乳量とホエイは同量です 

 
リコッタチーズに挑戦してみます。

1.ホエイ牛乳を温める

ホエイと牛乳を混ぜ合わせて
60℃まで温めていきますー。

2.レモン汁を入れ分離させる

弱火にして、レモン汁と塩を加えます。

分離し始めたら火を止めます!
カッテージよりも水分が多い感じ。

3.濾す!

はい、こちらもコーヒーフィルターで濾していきます。

本来はホエイを煮つめて作ります。
今回は簡単バージョンなので、同量の牛乳を加えてみましたー。

この量でのできあがりは46ℊ。

リコッタチーズの完成です!

自家製チーズを食べ比べ

おうちで簡単に作れたカッテージ&リコッタチーズ。

できあがりはこんな感じ。

両方とも冷蔵庫で約1日かけてじっくり水分を切りました。

では、食べてみましょう!

カッテージはあっさりした味のため
サラダのトッピングにぴったり!


リコッタはコクがあり、ほんのり甘い。
パンケーキによく合いそうです。

ナッツをのせ、はちみつをかけても美味しいですよ♪

ちなみにお酢で作ると、お酢のにおいが少し残ります。
そして少しざらつくような…。

私はレモン汁が好きですがお好みでどうぞ!

とっても簡単だったので、
ぜひ作ってみてくださいね。

余談ですが、余ったホエイは栄養豊富。

捨てずにスープやピクルスなどに活用するといいですよ!

本格的なチーズ作りを体験


家でできる簡単なものではなく、
本格的なチーズはどうやって作るの?

簡単だけでは終われないのが
食のオタク!!(笑)

前出の通り、私チーズが嫌いだったんです。

給食で食べさせられたプロセスチーズ。
なんか消しゴムを食べているようで…。
消しゴムを食べたことはないですけど。

その後もあまり好きにはなれないまま
大人になりました。(笑)

そんな私のチーズ観を変えた一品。
それが「竹炭」!!!


チーズの話を聞くのならこの人しかいない!

ということで、またもや突撃!


千葉県大多喜町にある
チーズ工房【千】senの
柴田千代さん。          

第11回  All Japanナチュラルチーズコンテストで 
農林水産大臣賞を女性で初めて受賞した
日本一のチーズ職人。


彼女が作るチーズは何が違うのか?

私のチーズ観を変えた竹炭を作る現場を見せてもらいました。

※後日、千葉県大多喜町のチーズ工房【千】senの柴田千代さん、情熱大陸でも紹介されていました!

まず、工房の隣にある苅米牧場へ。


この日の仕込み量は牛乳80ℓ分。
かなりの力仕事です。

大切な牛乳をこぼさないように注意しながら、4つの容器に入れました。
私も少しだけやってみましたよ。

その後、牛にもご挨拶。笑


すぐに工房に戻り、
牛乳を寸胴に移し加熱。

搾りたての新鮮な牛乳をすぐに加工。
ここも美味しさの秘密です。


大きなおたまで撹拌しながら
低温殺菌の規定温度まで。

ここもポイント!
任された私は緊張しまくり。

温度計とにらめっこです!笑

様子を見てもらい、OKが出ると…

冷却装置を入れて一気に冷やします!
化学なんですね~。

ある程度冷えたら数種類の乳酸菌と酵母を入れます。菌たちの特性を知り尽くしている彼女だからこそできる繊細な配合。

季節や状況を見極め、微量の調整をしているとのこと。

今回のチーズは25℃になったところで、容器に移し静置。

                                    
レンネットを入れ、また静置。

※レンネットとは?
牛乳を固めるために使用する酵素剤のことです。

いい感じに固まりました~!!

                                    
モールド(型)に入れ、
14℃の熟成庫で保存し、
水分を抜きます。

目には見えないけれど、
その間も菌たちの仕事が続きます。

竹炭のパウダーをまぶしてから、
また熟成庫へ。

素人の私にもパウダーをまぶす作業を
体験させてもらいました。

                                    
付き方が薄すぎず、厚すぎずにする難しさ。

それによって熟成に影響が出ると聞くと、これまた緊張!

「美味しくな~れ」という
気持ちだけは込めました。

2週間後にできあがるそうです。

チーズによって作業の細部が変わります。
繊細で緻密で丁寧な作業の繰り返し。

言うならば彼女が舞台監督で、
菌たちが役者さん。
全体を見てストーリーを決めていくのです。

牛乳の味をみて、その日の菌たちの配合を考える。

まさにプロ!

彼女のストーリー通りに作られた
モッツァレラチーズはこんなに伸びるんです!!

すごくないですか?!

原料がシンプル、製法もシンプルなだけに、作り手の思いと緻密な技が味わいとなって顕著に現れます。

確かな知識と強い思いで、菌たちと力を合わせるからこそ、でき上がる美味しいチーズ。


とてもいい勉強になりました。


ちなみに彼女のお店は月に1日しかオープンしません!
しかも大人気なので、予約必至です。

振り返り


いかがでしたか?

本格的なチーズを家で作るのは難しいです。
菌たちをはじめ、材料が揃いませんから。

最近はスーパーにも、たくさんの種類が並んでいますよね。

同じ種類のチーズでも、作り手が変わると味も変わります。

いろいろ食べ比べたり、こだわりの職人さんの工房を訪ねたり…。

菌たちの働きに感謝しつつ、自分好みの味を探してみてください!

私のように嫌いだったものが、好きのものに変わるかもしれません。

では次回の食オタノートも
お楽しみに~♪