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おうちの冷蔵庫で干物が作れる?!「アジの干物」の作り方研究

アジの旬って、いつか分かりますか?

6月~8月なんだそうです!

せっかくの旬!!

安くて美味しいアジをまとめ買いしたい!

でも、お魚だから保存が…?

そんな時は、日本に伝わる保存食
「干物」ですよね~。

干物って、自分で作れないかな?!

今回はアジの干物、つまり アジの開き の研究をします!

干物の定義と作り方

さてさてまずは、「干物」について少しお勉強。

干物にも種類があるってことですね!

◆いろいろな干物の種類

干物の種類って何があるかな?

「一夜干し」とか、「丸干し」とか??

「煮干し」も干物でしたね!

干物の種類ごとに調べてみましょう♪

干物の種類
素干し
保存性を重視し、長い年月をかけてたくさんの水分を抜いた、昔ながらの干物
一夜干し(生干し)
短時間で、軽く水分を抜くだけの干物で、現代では一般的
丸干し
内臓を抜かず、丸のまま干したもの
開き干し
内臓をとり、開いて干したもの
焼き干し
焼いて水分を抜いたもの
煮干し
煮てから乾燥させたもの
調味干し
調味料に漬け、干した干物

これでも、ほんの一部!

まだまだ、たくさんの種類があります。

干物は、海外にもあるんだって~!
驚きです!!

近年、日本では、「一夜干し」や「生干し」が一般的。

冷蔵庫や冷凍庫の普及もあって、
軽く水分を抜くだけで保存可能になったからですね!

◆アジの開き?アジの干物?

そういえば、アジの干物は、「アジの開き」って呼んじゃう。

「アジの干物」ってあまり言わなくないですか???

スーパーに並ぶパッケージにも、もれなくこう書かれています。

うん?

つまり…

ってこと?

実は…

「アジの開き」とは、文字通り
「アジを開いたもの」。

干物以外も含まれるんですって!

アジフライも、「アジの開き」を
フライにしたもの。

へ~!

知らなかった!!

でもアジは、干物にする場合、
基本的に開きます。

「アジの開き」は商品名としても、
定着していますもんね~。

だから結論、
「アジの開き」でも「アジの干物」でも
正解!でいいのかもしれませんね♪

◆干物の作り方は?

干物って、どう作るんだろう??

自家製煮干しを作る時に干物の作り方は、少し勉強済み♪

煮干しは「煮て」「干し」ますが、
干物は煮る工程がありません。

つまり、干物の作り方の工程は…

うん!

抜く水分量の少ない「一夜干し」なら、
なんだかやれそうな気がします!

アジの干物を作ってみよう!

自家製干物を作ってみましょう!!

アジが安くて美味しいうちに、レッツトラ~イ♪

◆アジの下処理をしよう

アジの干物を作るにあたって、最初にして最大の関門。

それは…

みなさん魚、捌(さば)けますか?

私は、不器用です。

でも魚オタなので、頑張ります…!

◆アジを開いてみよう!

では…

いざ、尋常に勝負っ!!!

まずは、「ぜいご」を取ります。

アジは、鱗がない代わりにぜいごがあります。

ここの部分↓

「ぜいごを外さなくても、焼けばパリパリになるから大丈夫!」

という人はこの工程はカットして下さい。

両方試してみましたが、やっぱりぜいごがない方が私は食べやすかったです。

続いて、エラも外します。

エラはここ↓

利き手のスナップを利かせて、ぐりっと!

そして、頭から肛門まで包丁を入れて
内臓を取り出します。

よく洗ったら、
背骨に沿って包丁を滑らせて…。

顎を割ります!

最後まで包丁を入れすぎないように
注意です!

また洗ってきれいにして、
水気を拭いたら…

アジの開きの完成です!!

多少、身がモロモロしてしまっても、
自分で食べるんだもの!

自分クォリティーで十分♪

◆塩水に浸ける

干物の「塩加減」も「乾し加減」も、つくる人のさじ加減なんですって。

干物のおいしさって、作る人の腕がはっきり伝わるんですね!

色々と調べてみたのですが、塩水の濃さも、5~15%と幅が広い!

干物づくり下準備/漬ける塩水の濃度
5~15%

何事も経験しないとわかりません♪

今回、私は真ん中の10%でやってみたいと思います!

…って、これ。
10%も結構な塩加減ですね!!

塩辛くないかなあ…??

2リットルの塩水(10%)に、開いたアジを浸けていきます。

アジが浮いてきちゃうなぁ。

空気に触れていると生臭くなるので、
ペーパーをかぶせます。

よし!

これで45分くらい浸ければいいかな?

◆アジを干そう!

様子を見て、干していきましょう~♪

塩水に漬けて45分後。
塩水からアジを引き上げました。

重さを量ってみると、127g!

重量の10%くらい脱水すると一夜干しになるそう。

一夜干し = 脱水率10%

このアジは127gということは…

127g × 0.9 = 114g

「114g」になるまで干したら一夜干しになるんですね♪

よし。目指せ114g!

今日の天気は曇り。

風もなく、気温も高くないので、
いい感じかも!

いつものベランダで
天日干ししていきます♪

◆ベランダ干し経過観察

水分がどれくらいのペースで飛ぶのか、
3時間ごとに追ってみました。

3時間後

まだまだ瑞々しさがあります。

手で触ってみると、ちょっとしっとり。

重さは、119g。

6時間後

だいぶ乾いてきました!

指紋が付くくらい。

ペーパーをのせてみると、ちょっとくっつきます。

重さは、116g。

目標の114gまで、もうちょっと!

9時間後

画像ではわかりにくいのですが…

手で水分を感じないくらい、乾燥してきました!

皮目から見るとこんな感じ。

端の方の皮が、少ししわになっています。

水分が抜けている証拠です!

重さは…
目標の114g達成!!

これで10%脱水で一夜干しの状態です。

重量視点だと、最初の3時間でとても減りました!

なので、あっという間に乾せるのかなー
と思ったのですが、大間違い!!

その後、じりじりしながら合計9時間待ちました。

これは、塩水の効果ですね!

塩水が蒸発すると、表面に塩分の膜が出来ます。

そうすると、中にまだ残っている水分が
続いて蒸発しにくいんですね!

実はこれが、干物を焼いた際に
ふっくらする理由。

塩の膜が、
水分を中に閉じ込めるんです!

でも、最終的に目標の114gを達成。

自家製のアジの開きの完成です!!

◆自家製アジの開きを食べてみよう♪

完成したアジの開きを焼いてみました!

いい感じにふっくら~♪

ちゃんと表面に弾力もあります!

食べてみます。

…む?

うーん…。

ちょっとしょっぱい?

干物は、作り手の腕が出る
って、本当なんですね。

美味しい…

けど…惜しい!

それに、10%水分を蒸発させるだけで、
9時間もかかっちゃった。

塩が効いているとはいえ、
これからの季節、ちょっと心配だなあ。

冷蔵庫干しで減塩干物に挑戦!

減塩ができて、時短できる方法…
もっといい方法はないものか??

煮干しの時短乾燥では「低温オーブン」
がとても良い結果を残してくれました。

しかし…煮干しと違って、
アジの開き(干物)の難しいところ。

それは、

●開かなきゃいけない!

に加えて…

●タンパク質を変性せずに、水分を抜かなきゃいけない!!

ことなんだそうです!

魚に含まれるタンパク質は、なんと、40度で変性してしまうとか!!

人肌よりもちょっと温かい、
お風呂の温度くらいで
変わってしまうんです!!

だから、煮干しと同じように
低温オーブンでは乾燥できません。

こうなっちゃいます!↓
焼き魚みたいになっちゃった!

▲その後、この子たちは塩焼きとして美味しくいただきました♪

干物には、表面の弾力と、
凝縮されたうま味が不可欠です。

何か方法はないものか…。

アジの水分を抜く、新しい方法!

悩んでいると、魚屋さんが
さらりとこう教えてくれました。

冷蔵庫!?

確かに冷蔵庫なら、
乾燥してるし、痛む心配がありません!

これは試してみたい!

しかし…

な、なるほど…。

でも、こうここまで来て
試さない訳にはいかない!

場所を空けて、臭いも覚悟して、いざ実験です!

冷蔵庫で干物作り!3方法比較

冷蔵庫干し3通りの方法を考えてみました。

【冷蔵庫干しの乾燥方法】
① 冷風にさらす
② 珪藻土で挟み込む
③ シリカゲルで埋め尽くす

どれが美味しくできるかな?

そして今回は、減塩してみました!
冷蔵庫なら、痛む心配がないですもんね♪

なので、浸ける塩水を
10%→5%に変えてみました。

方法① 冷風にさらす

つまり、バットにのせてそのまま冷蔵庫にイン!

イメージはこんな感じです。

むき出しだと、上に何ものせられなくて
スペースが勿体ないですね…。

それに、魚の匂いも心配です。

■方法② 珪藻土で挟み込む

そこで考えた第2案!

せめてビニール袋に入れたい!

除湿効果のあるものを一緒に入れれば、
冷風にさらさなくてもいけるかも!?

そう考えて、珪藻土コースターを用意。


最近は100円ショップにも置いてます♪

この珪藻土でアジを挟んでビニール袋に入れます。

珪藻土には、直接触らないようにペーパーでくるみました~。

一緒に、温湿度計もセット!

珪藻土は、湿度を調節してくれる上脱臭効果もあるとか!

期待大ですね♪

■方法③ シリカゲルで埋め尽くす

珪藻土よりも、もっと吸湿効果が高そうなもの!

それはシリカゲル!

よく、お菓子の袋に入っている
アレですね♪

ネットで買ってみました。

こんな大量のシリカゲルが入っている袋
見たことない(笑)

こちらも温湿度計を一緒に入れて、
経過をみます。

もしかして、冷風にあてるより
早く乾いちゃったりして!

美味しいアジの干物になりますように!

それではお三方…

いってらっしゃ~い!

◆冷蔵庫干し経過観察

天日干しの時と同じように、3時間ごとに経過を追って観察。

結果はこうなりました!

残念ながら、水分は抜けやすさは、
天日干しのが方がいいみたい。

冷蔵庫の湿度は約40~50%。

うちの冷蔵庫には、
乾燥防止機能がついていて、
乾きにくかったのかも。

うちのコ、10年選手なんですけどね!

脱臭機能も付いていたので、
臭いもそんなに気になりませんでした。

最近の冷蔵庫は、優秀だなあ。

お天気や衛生面を気にせず、
放っておくだけ!

冷蔵庫乾燥は本当にラク!

時間比較

ということで、その後も乾し続け…

結果はこうなりました。

どれもしっかり、
水分が抜けました!

睡眠中も乾せるって素晴らしい。

◆重量比較

最終的な脱水率は…

やっぱり風に当たっていた方が、
水分は抜けるのでしょうか。

冷蔵庫にむき出しで入れたものが一番。

◆出来上がり比較

見た目を比較してみましょう!

どれも大きな差はなく、
みんな、いい感じです♪

注目すべきは、珪藻土。

脱水率がなかなかの好成績なだけでなく、
全然臭わない!

実験後のビニール袋を嗅いでみても、
無臭~!!

シリカゲルよりも臭いませんでした。

◆3種の冷蔵庫干しを食べ比べ

重要なのは、味ですよね!

焼いて、食べ比べてみましょう~♪

公平に比較したかったので、オーブンの焼き魚モードで
並べて焼いてみました。

ほぐしてみると、こんな感じ♪

焼き色の違いはありますが、
魚の大きさや、火力のあたり方
によるものだと思います。

食べてみましょう~!

おおぉ、おいし~い!

ちゃんと減塩できてる!!

これはちょっと感動。

歯触りも、いい感じです!

冷蔵庫にそのまま入れて干したものが
一番香ばしいかな?

でも、水分を抜けば抜くほど
美味しくなるって訳でもないみたい。

ふっくら感は他の2つに軍配!

珪藻土と、シリカゲルは
あまり違いがわかりませんでした。

どちらも、おいしい~!

魚臭さもない!

素晴らしい!!

まとめ

干物にはいろいろとあります。

今回はその中でも
「一夜干し」に挑戦してみました!

今回の実験で、分かったこと。

干物は、自宅で簡単に作ることが出来る!

オススメの干物の干し方

天日干し:9時間
冷蔵庫干し:24時間
天日干し:半日

冷蔵庫でも24時間乾せば、
しっかりと水分を抜くことが出来ます!

小さめの個体なら、もっと短くても大丈夫かも!

そして…

冷蔵庫に場所がない場合は、 珪藻土やシリカゲルと一緒に、ジップバックに入れればOK!

特にオススメするのは珪藻土で挟み込む方法。

魚の独特の香りも抑えながら
水分を抜くことが出来ました!

さらに…

●冷蔵庫乾燥なら減塩出来る!

●塩水の濃度は5%で充分美味しい!

塩分量、気になりますよね!

でも、自家製なら、自分で塩味を調整できます!

アジの風味をダイレクトに感じる
減塩干物、とっても美味しかったです!


今回は、おうちでアジの干物を作ってみました!

冷蔵庫で自家製の干物を作れるなんて、
ちょっと面白いですよね♪

減塩もばっちり!

器用な方なら、骨なし干物も作れちゃうかも!?

新鮮でなく、時間が経った方がおいしいアジの開き。

一度に食べきれないほどのアジが手に入った際は、
是非、干物にしてみて下さい!

ではでは、次回の食オタノートもお楽しみに~♪