DICTIONARY
野菜辞典
野菜オタク監修野菜辞典
ネギ <野菜オタク> 野菜辞典 vol.23
ネギ
植物学上の分類 | ユリ科 |
---|---|
旬 | 冬 |
用途 | 鍋、薬味、焼き、炒め、煮もの他 |
保存 | 新聞紙に包んで、冷暗所で立てて保存 室温が高い時はラップに包んで立てて保存 |
栄養・機能 | アリシンの疲労回復、抗菌殺菌作用で風邪予防に |
フードメッセンジャーの生活豆知識
「天然の風邪薬」とも言われる、健康野菜のネギ。
普段野菜を食べない人でも ネギは薬味として自然に食べられることが多い野菜ですね。
関東は「長ネギ」、関西は「葉ネギ」
ネギは主に「長ネギ」と「葉ネギ」の 2つに大別されます。
【ねぎの主流】
関東 … 長ネギ=白ねぎ=根深ねぎ
関西 … 葉ネギ=青ねぎ
東日本では、白い部分を食べるネギが好まれています。
土寄せして茎を白く長く育てます。 この白い長い部分は、“葉鞘部”(ようしょうぶ)と言います。
・千住系ネギ(千住ネギ群) 下の写真左
・加賀系ネギ(加賀太ネギ群) 下の写真右
一方、西日本では、 緑の葉部分を食べるネギが好まれています
・九条系ネギ(九条ネギ群)
写真右から九条太、九条細 左はワケギだが葉ネギとして扱われることが多い
ネギを選ぶときは
土つきのネギを見かけたら、 迷わずそちらを選びましょう。 泥ねぎのほうが、鮮度を保ちながら長く保存ができます。
長ねぎは、白い部分がふかふかしてないものを。 下の写真のように 触って表面が浮いているような、 巻きがゆるいものは、『袋ねぎ』と言って、 中に土が入ってしまっている場合もあります。
葉先までピンとしていて青みが濃いものを。 そして根が新しいものを選びましょう。
ねぎの保存方法
寒い時期は ネギの葉先を出して新聞紙で包み、 涼しい所で立てて保存。
室温が高い時期は、冷蔵庫へ。 適度な大きさに切って、まとめてラップで包み、 冷蔵庫に立てて保存します。
根が切られ、外皮をむかれた長ネギは 保存期間は1週間ほど。 一方、泥付きで、掘ったままの姿のネギは 寒い時期は1カ月ほど保存ができます。 また根っこがそのまま付いているネギで、 寒い時期、ご自宅に庭がある場合は、 土の中に斜めに埋めることで、より長期保存が可能です。
ネギのヌメヌメの正体は?!
ネギの葉の中から、 ヌメッとしたものが出てくることがありますね。 その正体は、食物繊維と甘みのかたまり。
これはペクチンやセルロースなどが、 糖類や水分とあわさってゲル化したものです。 このゼリー状の粘質物は、洗い流す必要はありません。 体に良い栄養分であり、 ネギのうまみの塊でもあります。 美味しくいただきましょう。
豚肉と一緒に食べよう
ネギ科独特の成分で、タマネギなどにも含まれる硫化アリル。 この一部はアリシンといわれる香り成分です。 アリシンは、ビタミンB1の吸収を高めます。 ビタミンB1は、炭水化物の代謝を促したり、 脳や神経機能を維持するのに役立つ栄養素。 ビタミンB1をたっぷりと含んだ 豚肉との相性は抜群です。
アリシンにはほかにも、神経を鎮めたり、 ウイルスから体を守ったりする作用があると言われています。
ネギで風邪撃退!
ネギは風邪の予防に効くと言われてきました。 昔の人は、経験からそれを読み解いてきたのですね。
「カゼの時は、焼きネギを首に巻くと良い」
民間伝承ですが、 これは葱の成分をうまく利用した方法。 焼くことでアリシンが気化して喉から入り、 抗菌・殺菌作用で体を守ります。
「ネギ味噌を食べる」
硫化アリルの辛みは、体を温め、発汗に効果的。 胃の消化液の分泌を促して、 食欲増進・消化を助けると言われています。 またネギの葉に含まれるβカロテンは、 免疫力向上に一役買ってくれます。
漢方薬「葱白(そうはく)」
ネギの白い部分を乾燥させたもので、 風邪の初期症状に良いとされます。 ネギは風邪に良いというお話し。 冬には薬効の強いねぎを食べて、 風邪を撃退しましょう!
白髪ねぎの作り方
まず、白ネギを好みの長さに切り、 真ん中くらいまで切り込みを入れます。 中心部の緑の部分は取り除いて、 別の料理に活用しましょう。
外側の白いネギを細く切り、氷水にさらします。 常温の水より氷水の方が、くるんと巻いてボリュームよくなります。 下の写真は左が氷水、右が常温水(同時間つけておいた場合の違い)
薬味ネギを切るときはゴムを使おう!
葉ネギは、よく下の方をゴムで留められて売られていますね。
あのゴムには、実は役割が。 薬味用に切る時は、ゴムをとらず洗い、 留めている方と反対側から切っていきます。
こうする事でバラバラにならず 揃った小口切りにすることができます。 薬味ネギは水気をしっかりふき取っておけば、 冷蔵庫で数日は保存可能。 小分けにして冷凍しておいても便利です。
様々な品種がある千住ネギ
黒柄(くろがら)…緑色が濃い
赤柄(あかがら)…緑色が淡い
合柄(あいがら)…黒柄と赤柄の中間
黒柄 ↔ 合黒 ↔ 合柄 ↔ 合赤 ↔ 赤柄
現在では様々な品種が掛け合わせされています。
古来から愛される葱の色
「葱」は「ネギ」と読みますが、 もとは「ギ」と読み、
「根を食べるギ」ということで いつしか葱が「ネギ」と呼ばれるようになったと言われています。
浅葱色(あさぎ)
薄い葱の葉のような色で、藍染めの薄い青色 新選組の羽織の色にも使われていた色です
萌葱色(もえぎ)
平安時代から用いられた色名で、萌えいずるネギの芽のような緑色 歌舞伎の定式幕の色(黒+柿+萌葱色)
玉ねぎとネギの違い
ネギの下に、タマネギがなっていると 思っている方も多いですね。 ネギとタマネギは、別物の野菜です。 しかし、どちらもユリ科ネギ属の野菜で、 近親ではあります。 硫化アリルなど成分も似ていて、畑での姿も似ています。 下の写真はタマネギの様子。
タマネギとネギの一番の違いは食べる部分。 鱗茎を食べるのか、葉や葉鞘部を食べるのか、です。
鱗茎を食べるのが、タマネギ。 葉や葉鞘部を食べるのが、ネギです。
品種
根深ネギ(白ネギ、長ネギ)
【 特徴 】
関東で好まれて食べられる。 茎を白く伸ばした葉鞘部を主に食べるネギの総称。
味十八番ネギ
【 特徴 】
白ねぎの品種。千住系黒柄と加賀系を掛け合わせた品種。 耐暑性が強く、秋から出回る。 加熱すると甘みが増し、風味の良いネギ。
千住ネギ(江戸東京野菜)
【 特徴 】
江戸東京野菜のひとつ。今の千住ネギ群の元。 ネギ市場が千住にあったという地名からその名がついた。
下仁田ネギ(殿様ネギ)
【 特徴 】
群馬県特産の一本太ネギ。別名、殿様ねぎ。 硫化アリルが普通のネギの約3倍含まれる。
ずんぐりした形で白い部分が短く太い。 生だと非常に辛いが、加熱すると非常に甘くやわらかくとろける食感になる。
九条ネギ(京野菜)
【 特徴 】
九条葱は京都の伝統野菜のひとつ。 現在の葉ネギの主流で、薬味などで幅広く使われる。 九条細は枝分かれが5〜10本、九条太は枝分かれが5〜6本。
博多万能ネギ(小ネギ)
【 特徴 】
「博多万能ねぎ」で商標登録されている、日本初の空輸野菜で“空飛ぶネギ。
生でも、煮ても、薬味でも万能であることから万能ねぎの名。 品種としては、九条細ネギ。
わけぎ(分け葱、わけねぎ)
【 特徴 】
ねぎとタマネギの雑種。ネギの風味はおだやか。 分類学ではネギとは別物だが、葉ネギとして扱われる。
よく枝分かれするので、分け葱という名に(葱はもともと「ぎ」と読む)
赤ネギ(レッドポアロー)
【 特徴 】
茨城県城里町(旧桂村)の伝統的に作られる、鞘葉部が赤いネギ。 那珂川流域の肥沃な堆積土で栽培され、一本葱ではなく中は分かれている。 外側が赤く中は白いので、洗って皮はむきすぎない。 辛みがマイルドで、加熱すると甘みが増し、やわらかいのが特徴。
芽ネギ(姫ネギ)
【 特徴 】
写真は「京丸姫ネギ」。 寿司ネタや料理の彩りなどに使われる、やわらかい極小ネギ。 品種ではなく栽培法で、種子を密にまいて小さなネギにしている。
リーキ(ポアロ、ポアロー、ポロネギ)
【 特徴 】
ネギ特有の刺激臭が少なく、ネギが苦手な人にもオススメ。 過熱用の西洋ネギで、火を通すことでとろっと柔らかく自然の甘さがある。 煮崩れしないのも特徴で、スープやグラタンなど煮込みなどに最適。 緑の葉の部分も食べられるが、硬い場合は小さく切ってよく加熱する。
フードメッセンジャーの産地レポート 〜ネギ編〜 準備中
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フードメッセンジャー:藤田 久美子(ふじたくみこ)
野菜ソムリエ
食のオタクの力で食育機会を作り、世界を健康に!
大人&こどもへの食育、イベント企画や運営、講師など、人前でお話しすることが好き♪販売やPRプロモーションなど、お客様とのコミュニケーションも得意です!野菜でパーティー会場装飾「ベジデコ」も行います